I-HOUSE

2022 / Chofu, Tokyo / House

「暮らしの“内側”から着想した、立体的生活空間」
I-HOUSEは、30代のご夫婦と子供から成る3人家族のために設計した、75.06㎡の個人住宅。一見「黒い箱」として見受けられる片流れ屋根の住宅は、都心ながら視線の抜ける眺望が期待できる傾斜地立地を活かし、坂道からの建物のファサードに至るまで、1階(寝間と水回り)から2階(リビングダイニングキッチン)にかけての上下階にかけての関係性、窓の外の借景といった様々な景色のシークエンスにいたるまでを設計した。また、その内部には、暮らしの機能・意匠・しつらえの徹底した取捨選択、コスト抑制など様々な工夫が連動している。


「小面積でも大らかに。住みやすさと、洗練と」
日中は自然光のみで過ごせるよう計画された窓の配置、空間のつながりが感じられる色や素材のコントラストにより、ミニマルでありながら視覚的変化や奥行きが感じられるバランスが成立。勾配天井とアッパーライトの組み合わせ、視線の通るワンルーム構成により、実際の面積以上のおおらかさが感じられるように。玄関から連なる階段部にはステージを設け、室礼の場、荷物置き、子供の遊び場となるよう余白を加えた。デザイナーである施主の美的感覚に呼応し、線形や仕上げ面の美しさにこだわり、下地からミリ単位で逆算した施工を実施。適度な緊張感が生活空間に新たな豊かさをもたらしている。


「家具製作も含めた空間デザインの意図」
住まいに占める家具の役割は大きく、過ごす時間に大きく影響する。今回は、建築設計の段階から空間に合わせて特寸でオリジナルデザインの家具(ダイニングテーブル+チェア)を製作。建築の四角い箱に対比させた、円形で構成した家具で、空間にリズムを生みだした。空間との調和や使いやすさは当然のことながら、建築費用に家具・家電なども予算に組み込んで全体の「コストの比重」を調整、住空間全体を通じて高い質を保つことを目指している。家で過ごす時間そのものをデザインするという視座と、細部に至る美意識の連続性で、立体芸術的な住宅を実現した。


〈建築概要〉
計画種別:新築
用途:住宅
計画期間:2021年8月~2022年9月
構造:木造
規模:地上2階
建築面積:37.53㎡(11.35坪)
延床面積:75.06㎡(22.70坪)
敷地面積:94.64㎡(28.62坪)
計画地:東京都調布市
設計:STUDIO ALUC
設計協力・施工:HOUSE NOVA
照明計画:ModuleX

I-HOUSE

Year: 2022 / Location: Chofu, Tokyo / Category: House / Photographer: Kenta Hasegawa

PROJECTS